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[相談]

ご相談させていただきます。
私が農協に従事して担当している個人農家(農協組合員)は、農作物の販売について、農協を通じた委託販売(無条件委託方式かつ共同計算方式)を行っています。

そこで確認したいのですが、消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)導入後、上記の委託販売については、その農家は出荷した農作物の購入者に対して適格請求書(インボイス)の交付義務があり、また、インボイスの交付にあたってはいわゆる媒介者交付特例の適用を受けられる、という理解でよかったでしょうか。

[回答]

ご相談の委託販売については、そもそも、組合員である農家から購入者へのインボイス交付義務が免除されていますので、ご留意ください。

[解説]

1.インボイス制度における媒介者交付特例の概要

インボイス制度における媒介者交付特例とは、いわゆる委託取引について、委託者が購入者に対して直接交付することが義務とされているインボイスの記載事項のうち、適格請求書発行事業者(委託者)の氏名又は名称及び登録番号について、受託者が自己の氏名又は名称及び登録番号を記載したインボイスを、委託者に代わって購入者に交付することができるという制度です。

2.インボイスの交付義務が免除される場合

消費税法において、適格請求書発行事業者が行う事業の性質上、インボイスを交付することが困難なものとして定められている次のような取引を行う場合は、インボイスの交付義務が免除されています。

  1. ①税込み3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送
  2. ②出荷者等が卸売市場において行う生鮮食料品等の販売
  3. ③生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託(※1)して行う農林水産物の販売(※2)
  4. ④税込み3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等
  5. ⑤郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(ただし、郵便ポストに差し出されたものに限ります)

したがって、今回のご相談の場合、農協組合員である農家が行う農協を通じた委託販売については、その農家から購入者へのインボイスの交付義務はないこととなります。

  1. ※1 組合員が出荷した農林水産物について、無条件委託方式(売値、出荷時期、出荷先等の販売条件を付さずに販売を委託すること)、かつ、共同計算方式(一定の期間における農林水産物の譲渡に係る対価の額を、その農林水産物の種類、品質、等級その他の区分ごとに平均した価格をもって算出した金額を基礎として精算すること)により販売の委託が行われていることが要件となります。
  2. ※2 その農林水産物の譲渡を行う者を特定せずに行われるものに限ります。

 

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