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相談事例形式で退職金情報をご案内いたします。

 

 

[相談]

従業員と役員が退職(いずれも死亡退職ではない)し、それぞれ退職金を支払いました。その場合の税務上必要な手続きを教えてください。

[回答]

従業員や役員に退職金を支払う場合、所得税を源泉徴収して、原則として翌月10日までに納付しなければなりません。ただし、納期の特例の承認を受けている場合には、その年1月から6月分は7月10日、7月から12月分は翌年1月20日までに納付することが認められます(所法199、216、217)。

源泉徴収する額については、「退職所得の受給に関する申告書」の提出の有無によって計算方法が異なります。また、この申告書は退職金の支払者に対して提出し、退職金の支払者が保管することとされています(所法30(2)、120、122、201、203、所令69、69の2、71の2)。

(1)「退職所得の受給に関する申告書」の提出がある場合

次の算式で計算した課税退職所得金額を「退職所得の源泉徴収税額の速算表」に当てはめて求めた金額を源泉徴収することになります。

(退職金の支給額-退職所得控除額(注1))×1/2(注2)

(注1)退職所得控除額は次の算式によって計算します。
勤続年数20年以下…40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)
勤続年数20年超 …800万円+70万円×(勤続年数-20年)
※勤続期間に1年に満たない端数がある場合は、1年に切り上げて計算
※長期欠勤や休職期間も勤続期間に含まれるが、日額表丙欄適用期間は含まれない
※障害者になったことが直接の原因で退職した場合には、退職所得控除額に100万円を加算
※課税退職所得金額に千円未満の端数があるとき、求めた税額に1円未満の端数があるときは切り捨て

(注2)特定役員退職手当等に係る退職所得の課税標準の計算
平成24年度税制改正により、役員としての勤続年数が5年以下である方については、1/2を乗ずることなく、退職金の支給額-退職所得控除額によって計算することとなりました。

(2)「退職所得の受給に関する申告書」の提出がない場合

退職金の支給額に20.42%の税率を乗じて計算した金額を源泉徴収することになります。この場合には、退職金の受給者本人が確定申告をして、(1)と同様の計算を行って精算することになります。

退職金を支払う場合には「退職所得の源泉徴収票」と「特別徴収票」を作成し、退職後1ヶ月以内に受給者に交付しなければなりません。加えて、法人の役員に対する支給の場合は、税務署・市町村への提出も必要になります。税務署・市町村への提出期限も退職後1ヶ月以内とされていますが、税務署に対しては、その年中に退職した受給者分をとりまとめて、翌年1月31日までに提出しても差し支えありません(所法226、所規94)。

 

 

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