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[相談]

私は昨年11月に個人事業を始めました。
ただし、昨年12月時点での売上げはほんの少額で、経費の支払いしかないと見込まれたため、開業届出書の提出と同時に「消費税課税事業者選択届出書」を提出し、今年3月の確定申告で昨年分の消費税につき、還付を受けています。
当面の間、毎年の売上高は1,000万円以内と見込まれるため、できるだけ早期に免税事業者に戻りたいと思っています。この場合、どのような手続きを、いつまでに行えばよいのでしょうか。
なお、昨年12月中において100万円以上の固定資産の取得はなく、今年も取得する予定はありません。また、当面の間、従業員を雇う予定もないため、給与を支払う予定がないことを申し添えます。

[回答]

ご相談の場合、「消費税課税事業者選択不適用届出書」を今年の12月31日までに提出することで、来年から免税事業者に戻ることができます。

[解説]

1.小規模事業者に係る納税義務の免除制度(免税事業者)の概要

個人事業者のうち、その年の前々年における売上高(消費税法上の課税売上高)が1,000万円以下である人については、原則として、その年分の消費税を納める義務が免除されることとされています。

2.免税事業者である年分について、課税事業者となるための手続き

上記1.の適用を受ける個人事業者であっても、「消費税課税事業者選択届出書」を提出することで、免税事業者である年分についても、あえて課税事業者となることができるという制度が設けられています。

3.課税事業者選択届出書を提出するメリット

消費税の納税額は、売上げにかかる消費税額から経費や資産購入にかかる消費税額を控除して算出します。このとき、経費や資産購入にかかる消費税額の方が売上げにかかる消費税額より多ければ、その差額は還付されます。
したがって、今回のご相談の場合のように、ある年において売上げよりも経費の方が多いことが見込まれるときは、上記2.の手続きを行うことで、消費税の還付を受ける可能性が生じます。

4.課税事業者選択届出書を提出しようとする場合の注意点

消費税課税事業者選択届出書を提出した事業者は、事業を廃止した場合を除き、2年間は課税事業者のままでいなければならないこととされています(個人事業者の場合は、事業を開始した年の1月1日からカウントするため、今回のご相談の場合、2年の期間が満了するのは、今年の12月31日となります)。

上記の課税事業者のままでいなければならない期間中に、100万円以上の固定資産(調整対象固定資産といいます)の購入等をした場合には、原則として、その購入等をした年の1月1日から3年間は、免税事業者に戻ることができなくなります(簡易課税制度を適用することもできません)。

5.免税事業者に戻ろうとする場合の手続き

課税事業者選択届出書を提出している個人事業者が免税事業者に戻ろうとする場合には、「消費税課税事業者選択不適用届出書」を免税事業者に戻ろうとする年の前年12月31日までに提出する必要があります(「納税義務者でなくなった旨の届出書」は、この手続きに必要な届出書ではありません。ご注意ください)。

上記の通り、消費税に関する各種届出書等のルールは非常に複雑です。このため、還付を受けられると期待して安易に課税事業者を選択すると、かえって消費税の納税額が増加するような事態が起こり得ますので、消費税に関する届出を行おうとする場合には、ぜひ事前に顧問税理士にご相談ください。

 

 

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