◎役員◎食事代の補助制度を導入した場合の源泉所得税の徴収
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[相談]
このたび、私が経営する会社では、従業員の定着率向上を図るため、従業員の昼食代を補助する制度を導入することとなりました。
その制度では、従業員用の昼食(弁当)を1食あたり360円(税抜き)で外部業者に注文し、その代金を会社が業者に支払った後、従業員からは1食あたり250円を徴収する予定です(なお、従業員の勤務日数は、1ヶ月あたり22日です)。
このような場合、会社から従業員に対する食事代補助について、源泉所得税の徴収は必要でしょうか。
[回答]
ご相談の場合は、食事代補助についての源泉所得税の徴収は必要ないものと考えられます。
[解説]
1.食事代補助が非課税とされる要件
所得税法上、役員や従業員に支給する食事は、次の2つの要件をどちらも満たしていれば、給与として課税されないこととされています。
- (1)役員や従業員が食事の価額(仕出し弁当などを取り寄せて支給している場合には、業者に支払う金額)の半分以上を負担していること。
- (2)食事の価額から、役員や従業員が負担している金額を控除した金額(会社からの食事代補助額)が、1ヶ月あたり3,500円(税抜き)以下であること。
※現金で食事代の補助をする場合には、深夜勤務者に夜食の支給ができないために1食当たり300円(税抜き)以下の金額を支給する場合を除き、補助をする全額が給与として課税されます。
なお、残業又は宿日直を行うときに支給する食事は、無料で支給しても給与として課税しなくてもよいことになっています。
2.具体的な計算例
ご相談の場合について、上記1.の要件に当てはまるかどうかを確認してみます(金額はいずれも税抜きです)。
(1)食事の価額の半分以上を従業員が負担しているかどうか
- ① 1ヶ月あたりの食事の価額は、360円×22日=7,920円です。
- ② ①より、その半分の価額は、7,920円×1/2=3,960円となります。
- ③ 従業員の負担額は、250円×22日=5,500円です。
以上より、②≦③となるため、「食事の価額の半分以上を従業員が負担する」という要件を満たしていることとなります。
(2)会社からの食事代補助額が、1ヶ月あたり3,500円以下であるかどうか
1ヶ月あたりの食事代補助額は、7,920円-5,500円=2,420円です。
このため、「食事代補助額が、1ヶ月あたり3,500円以下であること」という要件も満たすこととなります。
以上より、ご相談の食事代補助制度については、所得税は課税されない(源泉所得税の徴収は不要)ものと考えられます。
なお、食事代補助制度が所得税法上の要件を満たしていない場合には、食事の価額から役員や使用人の負担している金額を差し引いた金額が給与として課税されますので、その部分について源泉所得税の徴収が必要となります。
慢性的な人材不足を背景として、今回のご相談のような食事代補助制度を新たに導入したり、一度は廃止した食事代補助制度を復活させたりする企業が現れ始めています。
人材の長期定着促進や有効活用のための制度導入にあたっては、税制面からの検討も必要ですので、ご相談ください。
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