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「貸借対照表」、「損益計算書」など、外部に対して業績を報告するために、決められた形式・ルールに基づいて処理される会計を「財務会計」と呼びます。

一方、経営者の意思決定に役立つ企業独自の情報を反映させた会計は「管理会計」と呼ばれ、そこには決められた形式も、決められた期間もありません。“決められた形式がない”とはいえ、管理会計には、いくつかの代表的な手法が存在します。
「予実管理」、「セグメント(部門・商品・拠点)別損益」、「原価計算」、「資金繰り表」などが、その代表例です。
この中でも「予実管理」は、比較的広く活用されている手法といえます。

予実管理とは、事前に立てた予算(計画)と実績を対比することで、業績の評価を行うことです。例えば月次試算表を見たとき、10百万円の黒字であったとしましょう。しかしこれだけでは、「良かった」のか「悪かった」のかは判断できません。1ヶ月で5kgのダイエットに成功したとしても、10kgの減量を目標としていたのであれば「悪い」結果ですし、3kgを目標としていたのであれば「良かった」といえます。
同じ結果でも、目標と比較してはじめて、良し悪しが判別できるのです。つまり、業績の評価を正しく行うためには、評価の基準となる予算(計画)が必要なのです。事例を見てみましょう。


ここでは、予実管理にあたり、まず通期の予算を立てました。年間の売上高目標、経費予算、利益目標をベースに、月単位に分解し、毎月の実績と比較します。計画が未達となった場合には、残りの期間でどうリカバーするのかを検討します。
その際に有効な手法が、「期末予測」です。具体的には、売上の見通しを基準に、経費・利益が適切に再計算される仕組みを構築しました。これを作ることによって、「案件が予定より1ヶ月先延ばしになった」、「3ヶ月後に100万円の案件が決まった」といった日々の状況の変化に柔軟に対応し、先の予測をある程度正しく見通すことができました。先の予測ができれば、そこから期首の計画を達成するために、「どこに、どんな手を打つべきなのか」を検討することができるのです。


財務諸表は過去の分析がメインですが、このような管理会計の手法を取り入れることができれば、将来に向けた戦略的な意思決定が可能となるのです。

 

 

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